本を開くと、左側に家の被害・不具合の症例、右側にその対策、という、わかりやすい形になっています。
「住宅耐震リフォーム」というタイトルからすると、耐震に特化した本でしょう。しかし、章だけ見ると、そうでもないようにも思えます。
CHAPTER2 湿度対策
CHAPTER3 劣化対策
CHAPTER4 耐震補強対策
CHAPTER5 増築工事をした建物への対策
CHAPTER6 外装リフォーム対策
CHAPTER7 内装リフォーム対策
CHAPTER8 性能向上リフォーム対策
CHAPTER9 雨漏り対策
「CHAPTER1 基礎と地盤対策」「CHAPTER4 耐震補強対策」以外は、総合的なリフォームの本と変わりないように見えます。
でも、CHAPTER3のように「劣化対策」を施せば、それだけ住宅の耐震性は高まるわけで、全ての章で、その論法を当てはめることができます。
内容としては、ちゃんと耐震に関わる内容にはなっています。全てモレなくということでもありませんが、テーマに外れているということでもありません。
「耐震のための」という言葉をそれぞれの章のどこかに付けてもらうと、わかりやすいと思います。
それでもCHAPTER7の「内装リフォーム」が耐震と関係があるのか? と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。私もそう思いました。
その章には、例えば「吹き抜けは耐震性を弱める」ので「耐震性を考えて構造設計を行わないといけない」といったようなことが述べられています。
耐震と関係はあるのですが、構造のことならCHAPTER4にでもまとめたほうが良かったのではないでしょうか…? 章が多い方が、本としての体裁がまとまりやすいのかな?
この本の特徴は、近年起きた地震で倒壊した家の例をあげて、その原因が何であったかを探り、その対策を考える、と構成されているところです。
被災者の方には失礼かもしれませんが、地震で壊れた家の写真(白黒です)はやはり衝撃的で、説得力があります。釘打ちの筋交いが抜けていたり、ブロックの壁や基礎の弱さ、無闇な増築が招いた被害など、多くの実例が挙げられます。
地震の被害をゼロにすることはできないでしょうが、どうすれば被害を小さくすることができたのか、そして、これから建てる家、もしくはリフォームする家には、どういう対策を施せばよいのか、考え抜かれた内容となっています。
そういう視点からやや外れたような部分や、同じような内容が繰り返し述べられている部分など、少し残念に思う部分が無くはないのですが、総合的なリフォーム本の、耐震対策寄りに作られた本、と思って読むと、すんなり読めるかと思います。