《リフォームの本》木の家リフォームを勉強する本(「木の家リフォーム」プロジェクト 編)

財布にやさしい・省エネ・長持ち 木の家リフォームを勉強する本(「木の家リフォーム」プロジェクト 編/農山漁村文化協会/2011)

木の家にこだわり抜いたリフォーム術の本! かと思いきや、印象としては…そうでもありませんでした。残念ながら。
確かに木の家をテーマにした作りなのですが、一般的なリフォーム解説に、木のテイストを多めにまぶしたような、そんな感じでしょうか?

木の住宅の良さは、ひしひしと伝わってきます。そこは間違いありません。でも、そもそも中〜大規模リフォームを扱った本なら、必ず木をふんだんに使った家は出てくるので、「木の家」を強調するのならもっと何か、全面的に木をゴリ押ししてほしかったなあ、という印象です。例えば植林するところから始めてみるとか、外国材が切り出されてハゲ山になっている?場面を取材するとか、あえて燃やしてみる、とか。そうすれば、他の本との違いもはっきりしたのではないでしょうか。もったいないことです(勝手なこと言ってスミマセン)。
結局、一般的なリフォームの本とすれば先に読んだ「住宅リフォーム至高ガイド」の方がわかりやすいですし、木の家の本なら「家づくりの基礎知識」第2章の方がこだわりが強いかもしれません。

…なんだかケチばかりつけるようですが、そんなつもりはありません。良いところも言いましょう。
この本にはリフォームされた木の家の事例が、カラーページで豊富に紹介されています。それぞれの仕上がりの見事さは(本に載るだけあって)素晴らしく、見ていてため息です。といいますか、いい家すぎるのが羨ましくてしかたありません。どうせ私の予算じゃ無理ですよ…といじけてみたり。
リフォームの工程やポイントがきっちり解説されているところも丁寧で、なるほどと思わせます。でも「木の家」だから一般の家とはここがこう違う、といった書き方ではなくて、普通にリフォームの流れではありますが。 …やっぱりケチつけてます?

この本でも、皆さんが気になる予算、見積もりの例がいくつかありました。その中でも特にすごいと思ったのは「ザックリ・リフォーム予算把握法」です。建築家の三澤文子さんが担当されたp148〜150にそれが載っています。ちなみに三澤さんは「家づくりの基礎知識」第2章の中でも、国産材にこだわった木造住宅建築について、とても興味深い講義をなさっておられます。こちらの「木の家」の本にも書いておられたのですね。

「ザックリ・リフォーム予算」は、

A 基礎工事 + 屋根瓦吹き替え + 外装のやり替え
B 台所 + 浴室 + 洗面洗濯室 + トイレ
C 全ての床・壁・天井のやり替え(耐震・省エネ工事含む)や電気設備工事など
D 設計料・備品費など、その他の費用

と、お金がかかる場面を大きく分類して、それぞれのざっくりした坪単価を示し、リフォームする坪数と掛け合わせて、A〜Dすべてを合算する、というものです。坪単価もaランク、bランク、cランクと、こだわりにあわせて価格を変えてあります。
私の文章が下手なので伝わりにくいでしょうが、これ、すごくいいです。私自身もいろんな物件の坪数を当てはめて、ここはこだわってaランク、ここはいいからcランク、などと試しています。時として自分の予算の少なさに頭を抱えることになりますが。

予算といえば、先に読んだ「『家づくりにかかるお金』のすべてがわかる本」というのがあって、そこではひとつひとつの部品の単価や節約術が細かく示されていました。しかし、じゃあ1軒まとめていくらになるの? という大まかな全体像は掴みにくい嫌いがありました。
ほんとうにざっくりなら「リフォームは1坪50〜60万円」とする本もあります(それはそれで合っています)が、「ザックリ・リフォーム予算把握法」はざっくりの中にも選択肢があって、今まで見た中ではいちばんシンプルで使いやすい計算方法です。予算に不安を抱える方は、これで大まかな予算を掴んでみてはいかがでしょうか?
「木の家」とは関係なくなっちゃいましたが、この部分だけでも読む価値大いにアリ、だと思います。でも、それだけで買わないですよね…