すごく細かいです。さすが「すべてがわかる」とうたうだけのことはあります。
新築の一戸建てを建てることを前提に書かれていますが、リフォームをする際にも、いちばん気になるのはお金のことです。いつ、どんな場面でどんな契約を結び、どれだけコストがかかるのか、本のしょっぱなから細かく、あらゆる状況を想定し、具体的な価格を示しながら、順番に家づくりのお金のことを解説していきます。
本当に細かく丁寧に状況を拾い上げているので、これに当てはまらないということはまず無さそうです。逆に言うと、それほど細かく現実を突き付けられるわけで、家づくりってメンドクサイなあと、読むだけでげんなりしてしまいます。しかし避けては通れぬ道なので向き合わないと仕方ありません。そうしないと家は建ちません。そこに気付かせてくれる本なのです。
章ごとに見ていきますと、まず、
Part2 いつ?いくら払うのか?お金のスケジュールを確認します
Part3 さあ!住宅資金を用意しましょう
と、このあたまの3章で家づくりの工程と、どの時点でどれだけの支払いが必要かを示し、さらにどうやって資金を工面するか、というところまで述べられます。「ちゃんと貯金しましょう」といったことまで書かれていて、余計なお世話だ!と思わせますが、逆に細部まで作りこんだ結果だと思います。ひとつひとつ細かいので、もう家造るのやめようかな…なんてくじけそうになりますが、耐えましょう。
3章までを耐えて現実を冷静に見直すことができたら、この4章でやっと家作りのプランに取りかかることができます。プラン作りは楽しいので、ついつい現実離れしたプランを思い描きがちですが、3章までに冷水をたっぷり浴びせられているので、浮ついた考え方にはならないはずです。これがこの本の構成のすごいところです。
この章ががいちばんボリュームがあって、家の場所ごとに細かくコストダウンのためのアイデアが示されます。ひとつひとつ細かくコストを削減していこうという姿勢は、例えば主婦が野菜ひとつの値段にも気を使う姿勢と通じるものがあって、さすが主婦の友社と思わせます。
家は建ててしまえば終わりではなくて、日常生活の光熱費や、何年か後には修繕も必要になるでしょう。そのコストを抑えるために知っておいたほうがいい情報が書かれています。
章のタイトル通り、コストダウンのためのテクニックを家の部分別にまとめてあります。読めば、へえそうなのか、と節約上手になったような気分で楽しく、いろいろ知っておくとかなり役に立ちそうです。
住む人の事情によって、家のカタチも変わります。この章では何を選んで何を削ったか、コストを抑えつつ理想に近い家を作った4つの家族の事例を紹介しています。
間取りの図面や実際に建てられた住宅の写真など視覚的にも解りやすく、情報が多い分字がちょっと小さいですが、つねにコストを意識した内容になっています。ここまでコストにこだわった本も少ないでしょう。コストコストと連呼されて、うんざりする向きもあるでしょうが、実際はそのうんざり、げんなりする作業なしに家は建ちません。それにこの本は、ただ安さだけを追求して書かれているのではありません。住み心地のいい、理想の家を建てることを念頭に書かれています。コストを抑えたがために不満が残る家ができてしまっては元も子もありません。理想の家はコストを抑えても作ることができる、そのことを伝えてくれる本だと思います。



