《リフォームの本》住宅リフォーム至高ガイド2014(荒井聡・勝見紀子 著)

住宅リフォーム至高ガイド2014』(荒井聡・勝見紀子 著/エクスナレッジ/2013)

図書館で借りたのが2014年版だったのでそれを元にしていますが、2016年版が最新のようです。内容はそんなに変わっていないと思います。目次だけ見ると同じでしたから。2012〜2016年まで毎年出ていましたが、2017年版は出ていません。なぜでしょう?


夏暑く冬寒く、暗く湿っぽく、間取りが悪く片付かず、狭すぎたり広すぎたり、家は様々な問題を抱えます。しかし大抵のことはリフォームで解決できる。この本はそう述べています。確かにそう思います。予算があれば、ですけどね。

長年住んだ家のリフォームを想定した部分が多いですが、もちろん、私のように中古住宅を買って、リフォームしたい人が読んでも非常にタメになります。

前文に、

特別に立派とか、手の込んだ家ではない普通の住宅でも、手を入れていくことで長く住み継いで行くことが可能です。そこここに見受けられる、味わいのある佇まいの古い住宅は、それが名建築だから生き残って来たわけでなく、その住まいに愛着を持って住み続けてきた人がいたから残ってきているのです。

と、あります。気分としては私もそんな感じです。「住み継いで行く」とは、身内が代々住み続ける、というニュアンスを感じますが、第三者が、ある中古住宅に魅力を感じて、リフォームし、その人なりの価値を新たに作り出して「住み継ぐ」という形も、もちろんあるわけです。私が目指したいのはそれです。

ちなみに、私が今まで見てきた物件は、住み継ぐ価値など無さそうな、ボロ家ばかりでした。いや、自分としてはそれでいいのですが…実際、価値がある家は、「特別に立派」でなくとも値が張ります。私には手が出ませんよ…


本書はリフォーム全般のことを一般向けに解りやすく解説した本です。ビギナーにもやさしい語り口で、イラストも多くて直感的に理解しやすく、なにしろ説明が細かく丁寧なので「何がわからないかがわからない」という状態からは完全に抜け出すことができます。それ以上に知りたい部分があれば、より専門的な本に進めばいいでしょうし、リフォームの入門書としては申し分ない内容だと思います。入門というか、この本だけで必要十分かもしれません。

ただ、リフォーム住宅のビフォーアフター写真をもっと見たいという方や、どうせリフォーム屋さんにお任せなので、ここまで細かい内容は知らなくていい、という方にはお勧めしません。


章はこう分かれています。

SPECIAL 私たちの成功リフォーム

リフォーム例を3例紹介しています。

①日当たりや風通しを改善するためのリフォーム
②家族環境の変化で行うリフォーム
③中古マンションを購入してのリフォーム

と、事情が違う例を挙げて、かかった金額も示してくれます。費用は最も気になるところなので、出来上がりの写真と比べて参考になります。
この章はボリュームが少なく、そこまで力は入っていません。もちろん、それが全体の構成上の問題とはなりません。この章は「SUPECIAL」つまりオマケですからね。

第1章 家を直したいと思ったらー調査と準備

リフォームを始める前に考えておきたい事柄、知っておきたい基本知識を解説します。まずは何のためのリフォームなのか、目的を明確にせよとのことです。

1981年に建築基準法が大改正されましたが、その前と後との住宅の作り方の違いに始まって、家のどの部分に手を入れるべきか、事前調査では誰に何を依頼すればいいのか等々、初心者の目線で、チェックすべきポイントが書かれています。

予算の例もあり、非常に参考になります。この章だけでも買う意味はあると思います。2014年版の消費税はまだ5%ですね。

第2章 誰とどうリフォームするかー見積もりと契約

「誰と」というのは実際に建ててくれる相手のことで、

・全面リフォーム → 総合リフォームの業者さん
・風呂やトイレやキッチンのみという部分リフォーム → 個別の専門業者さん
・大胆なイメチェン → 建築家

と、いうふうに、目的によって変わります。

「どう」というのも、住み手や、リフォームの規模によって違うのですが、一般的に「どう」「見積もり」や「契約」が行われるのか、あまり表に出てこない部分を細かく丁寧に解説してくれます。事前に流れを知っておけば戸惑いも少ないでしょう。

見積もりに出てくる工種は「仮設工事」「基礎工事」「木工事」…等々多岐にわたりますが、そういう馴染みのない言葉を解説して、意味を教えてくれるので、かなり役立ちます。

他にもリフォーム融資、減税、保険など金銭面のことにもまとめて触れられていて、何に注意すればいいのかを気付かせてくれます。

第3章 地震に強い家にする

「耐震」についての解説です。耐震診断の方法や、地震に強い家にするための補強方法などが述べられますが、この本のいいところはやはり、コストの目安を示してくれるところです。この項では屋根改修のコスト、外壁改修のコスト、壁の補強のコスト、基礎の補強のコストの目安が示されます。参考になります。

第4章 夏涼しく、冬暖かい家にする

「断熱」と「防湿」についての解説です。夏も冬も快適に過ごせる家を作るための断熱材や、断熱ガラス、断熱の手法、結露の予防などの技術が紹介されます。

第5章 暮らしやすい間取りにする

昼でも暗い、風通しが悪い、収納が少ないなど、暮らしにくさを改善して快適な家にするのがリフォームですが、それには間取りが重要です。個々の事情によって様々な間取りの変え方があります。ここでは多くの例を挙げて、何をどう変えれば暮らしやすさにつながるのかを教えてくれます。幾つかの例でざっくりした費用も示されます。

第6章 便利&快適な設備を入れる

設備とは浴室、水廻り、キッチンの設備や、オール電化、太陽光発電、省エネの設備、給水管などのことです。リフォームを考えている人なら特に、浴室、トイレ、キッチン設備あたりに興味があるかと思いますが、それ以外の、普段目を向けない箇所のリフォームにも、きっちり解説が及んでいます。

第7章 内装・外装を新しくする

屋根、外壁、内装、床、内部建具のリフォームについての解説です。古くなったこれらの部分をリフォームして、見た目と同時に快適さを高めたい、と思われる方に役立つ情報です。


リフォームについての詳しい解説本を何か一冊、と言われれば、この本でしょうか。総合力高いと思います(繰り返しますが、グラビア的な写真は少ないです)。

本書では見積もりの例などもあり、リフォームを計画している人が一番知りたい予算のことも意識した作りなので、よりポイントが高いです。

でも本気でリフォームの工事費を知りたいのなら「積算資料ポケット版 リフォーム編2017」という本もありますので、そちらがいいのかもしれません。この「至高ガイド」も一部そこから引用していましたので。私はまだ読んでいませんが、そのうち手に入れて読んでみたいと思います。